心とカラダが発するサイン
妄想・逃避タイプは注意
いわゆる抑うつ神経症タイプのうつ病であれば、自分の心がおかしくなっているという自覚があるので、自身でも病気のサインに気づくことができます。しかし、うつ病を発病しやすい人は、現実逃避の深層心理があるので、心が疲弊していると感じても、そのことを逃避の言い訳にすることもあります。こうした人は、失敗を恐れて、責任のあることからいつも逃れようとするタイプです。厳しい現実に目を向けることを嫌い、非現実的なものに逃避します。部屋などに閉じこもり、引きこもりがちです。傷つきやすい性格であることも自分で理解しているので、傷つきそうなことは避けようとします。そのため、この性格傾向が強いと病院への受診が遅れがちになったり、病気をほかのいやなことから逃れたりする言い訳に使いがちなので、悪化しやすいです。その結果、入院加療を言い渡されることもあります。また、猜疑心が強く、人を疑ってばかりいる人も要注意です。人に悪口を言われたり、裏切られたりするのではという被害妄想が強く、トラブルが絶えません。心配して受診を勧めてくれた人にも、そのような調子なので、孤立しがちです。それにより発症しやすい環境が整いやすくなります。加えて、治療中も孤立しやすいので、サポートを受けるために入院が必要な場合もあります。うつ病の症状の中核をなしているのは、抑うつです。気分の落ち込みややる気が出ないという日常的に経験するものよりも、はるかに重く長引きやすいです。そのため、日常生活や社会生活に支障をきたすこともあります。いろいろなものに対して関心がなくなり、喜びも感じなくなってくることも多いです。ひどくなると自己否定が強くなり、根拠のない罪悪感に駆られることもあります。あまりにひどい場合には、入院加療も検討されます。入院と聞いて、それほどひどい状態なのかと、そこで初めて気づく人も多いです。抑うつ気分が日常的なものなのか、うつ病によるもので治療が必要なのかは、仕事や生活への支障の出方で判断できます。また、さらに重症化すると、辛いことさえも感じなくなります。そこで無の状態が続く人もいますが、イライラしたり落ち着きがなくなったりする人も多いです。治療を受ける前でもっとも危険なのが、この焦燥感に駆られているときです。そこへ身体症状も加わると、症状がますます悪化します。1人暮らしの場合、生活リズムも乱れやすく、こうした状態になってもサポートが受けられないことも多いです。会社に産業医などがいる場合は相談し、正確な診断の後に入院治療を受けるのもひとつの選択肢です。食事や睡眠のバランスも取れますし、休養も取りやすく、チーム医療によるサポートも受けやすくなります。